この作業は素地に下塗り塗料が良く密着するよう、素地を清掃して油分、ホコリ、サビ等を取り除く作業を行います。
この作業のことをケレンと呼びます。
外壁・屋根の場合であれば高圧洗浄で現状の苔や藻の付着を取り除きます。金属部、鉄部・木部であればワイヤーブラシ・スクレーパー・マジックロン等で表面を削り落とす作業になります。
この作業は基本中の基本ですから、決して省くことのできない作業です、この作業を行わないでそのまま塗装をした場合は、明らかな手抜き工事です。
外壁塗装工事に養生は大切な工程です。
養生とはサッシなど塗料を塗らない箇所に塗料が付着することがないようビニールで保護する作業です。
養生をきちんとする業者は優良業者の選別にもなります。
外壁塗装では下地処理が最も重要な施工ポイントです。
下地処理の施工方法は状態により異なりますが、それぞれ欠損している箇所に適切な下地処理をしなければなりません。
防水性を高めるためにはシーリング等で穴を埋め、大きくヒビ割れている箇所は下地をVカットした後シーリングを注入してから樹脂モルタルなどで素地を修復します。
見た目を重視する場合では肌調整(マスチック)までしてはじめて塗装が出来る準備が整った事になります。
これらの作業が出来ていないのは手抜き工事の可能性があります。
塗料の塗膜は防水性の向上にはなりますが根本的な下地の補修にはならないからです。
下地補修に関しましては上塗りをかけてしまえば残念ながらプロの我々ですら見極めることが困難です。
塗装後1年もしないうちにクラックが再発する事例も多く見受けられます。このようなトラブルを未然に防ぐには下地補修の各工程を写真に撮ってもらい、工事完了後写真で説明をしてもらえるように事前に依頼しておくといいでしょう。
外壁塗装・屋根塗装は一般的には、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗装すると見積書には書かれていると思いますが実際には確認することが出来ません。
塗装業者が本当に見積書通りに塗装をしているかを確認する必要があります。
手抜き工事は下塗りの後、中塗りを省いて直接上塗りをします。
下請け業者などが工事を請け負う際、単価が安すぎる場合に比較的多いようです。
ただ、この仕上げをした場合、プロの我々が見ればすぐにわかります。
外壁塗装の施工手順は最初に下塗りを塗装します。下塗りはシーラーやフィーラーと呼ばれる『接着剤』の役割を果たす塗材を塗装していきます。
下塗りを塗装した後に中塗り・上塗りと仕上げていくわけですが、ここでよくある中塗りと上塗りの色分けをする施工方法についてご説明させて頂きます。
中塗りと上塗りをあえて違う色に塗り、手抜き工事を防止する考え方も正しいかと思います。さらに塗料の塗り忘れも防止できますが、塗装専門業者の我々はあまりお勧めいたしません。
紫外線の影響により塗膜の機能が低下してくると、色褪せ、チョーキング現象が発生いたします。
色分けをして仕上げることで上塗りの色が劣化してくれば中塗りの色が出てきますので外観の色ムラにつながります。
ですから中塗りと上塗りの色分けはお勧めいたしません。
又、作業を急いで1日で何工程も塗装する業者がいますが、本来は1日1工程が望ましいかと思われます。
塗料にも表面乾燥と内部乾燥があります。
表面乾燥のまま次の工程に進むと適性な塗膜の塗布量がつかなくなることと、塗膜の剥がれやフクレの原因にもつながるので本来であれば1日1工程をお勧めいたします。
外壁塗装は素材にもよりますがメーカー既定の塗布量と希釈率を守らなければなりません。
塗膜が薄すぎても、厚く塗りすぎても不具合の原因となります。
規定の塗布量を守らなければメーカーの表記されている耐用年数を保持することは出来ませんので塗布量と希釈率を適性に守らなければなりません。
手抜き工事の場合、塗料の希釈を多く行い希釈をたくさんすることで材料を節約し作業性を良くすることができます。
このような手抜き工事を未然に防ぐ方法としては、入荷した塗料の荷姿のまま現場で写真撮影をし、工事完了後の空の缶を写真撮影してもらう等で防止することができます。